学習サポーター制度支援Webシステムの発展的構築として、以下のことを実施した。
1) 個別の学習プロセス作成支援システム運用実践・機能追加
昨年度制作した「個別の学習プロセス作成支援システム」(「学習ポートフォリオ作成支援機能」を含む)では、データベース構造(データベース・サブシステム)を確定しつつ、以下の3つの機能を整備した。
1)個別教育・自己学習支援を目的とした「サポート対象学生自身が学習履歴を閲覧可能な学習ポートフォリオ作製支援の機能」(インターフェース・サブシステム②学習プロセス記述モジュール)
2)コミュニティ(サポート対象学生・サポーター・科目担当教員)での情報共有、および、FD利用を目的とした「サポート対象学生の科目毎のつまずき事例の時系列関連化、および、つまずき事例の検索機能」(インターフェース・サブシステム④事例検索モジュール)
3)コミュニティでの連携の円滑化を目的とした「対象学生・サポーター・教員相互間の関連付け機能」(インターフェース・サブシステム⑤事例送信モジュール)
今年度は、上記機能を含めたシステムの運用実践を踏まえ、以下の機能追加を行った。
1)学生、サポーター、教員の協働学習への支援を目的にし、一人ひとりの学習プロセス、および、支援プロセスの可視化機能(インターフェース・サブシステム③学習プロセス確認モジュール)。
2)従来、対面のみで実施してきた支援を、Web上において非対面で実施可能にするシステム改良(システムのWeb支援対応化)。
以上H22、23年度の開発により、本システムは、学習サポーター制度における学生一人ひとりの学習プロセスを蓄積し、共有できる自学自習支援システム(eポートフォリオのひとつ)として、運用が可能となった。
システム運用における支援項目を以下に示す。
1)自身の問題解決過程である学習プロセスの継続した蓄積への支援
2)サポーターをコア・エージェントとした協働した(相互アセスメントした)学習への支援
3)蓄積された事例(先輩たちも悩んだところ:つまずき・課題)の共有による自学自習への支援
H23年度の本システムの運用実践の報告として、学習サポートを利用した自学自習における、上記支援項目に対する学生の主観的評価を示す。比較グループは3グループである。
A【相談コース提供型のサポート】n=34:個別学習サポート
本システムを使用しない、担当サポーターが対面で対応
B【相談スペース提供型のサポート】n=32:サポートスペースでのサポート
本システムを使用する、その時々のサポーターが対面で対応
C【相談スペース提供型のサポート】 n=34:サポートスペースのサポーターがWebで対応
本システムを使用する、その時々のサポーターがWebで対応
なお、対象期間は4カ月間(学期間)とし、コース(個別サポート)は10回以上、スペース(サポートスペース)は3回以上の利用者を対象とした。
結果から、学習サポートを利用した自学自習における本システムの有効性が示されたと判断する。また、サポートスペースで不特定のサポーターが対応する場合や、非対面の支援であるWeb上での対応において、本システムを用いることにより、一定期間特定のサポーターが対面での支援を行う個別サポートと比較しても遜色ない成果が確認できた。
1)自身の問題解決過程である学習プロセスの継続した蓄積への支援
2)サポーターをコア・エージェントとした協働した(相互アセスメントした)学習への支援
3)蓄積された事例(先輩たちも悩んだところ:躓き・課題)の共有による自学自習への支援
2) 学習履歴データベースの改良
H21年度に制作した学習履歴データベースを改良し、また機能を修正した。
a.データベースの再構築
データベース項目を追加し、以下のように整理した。
◆学籍データ ◆留年・休学・退学等データ ◆基礎学力成績データ
◆学習サポートデータ ◆授業科目成績データ
b.機能の修正
データの検索、検索結果の表示とダウンロード機能を以下のように修正した。
○個人の学習履歴の一覧表示とダウンロード
a 学籍番号を指定して、検索 → 一覧表(全データ)の表示・ダウンロード
b 学籍番号とデータ類別を指定して、検索 → 一覧表(指定データ)の表示・ダウンロード
○入学年度・入学学年・所属課程による検索、検索結果の一覧表示とダウンロード
a 学籍番号上3桁およびデータ類別を1つ指定して、検索
→ 検索結果の一覧表示・ダウンロード
b 学籍番号上3桁と所属課程、およびデータ類別を1つ指定して、検索
→ 検索結果の一覧表示・ダウンロード
以上の支援Webシステム構築・改良により、①学生一人一人の自学自習プロセスを、Web上でわかりやすい図(マップ)によって見ることができるようになった(これには、学習サポートにおけるサポーターの対応・教員のコメントが含まれている)。②サポーターが、対面だけでなく、Web上でも学習サポートをすることが可能になった。③学生の留年・休学・退学等と学習履歴との関連を調べたり、学生集団間の比較によって学習サポートの効果を検証したりすることが、一つのデータベースによってできるようになった。
以上